「何を話せばいいのか分からない」――その悩み、今日で終わりにしませんか?
試合のハーフタイム。
前半の出来を見て焦る。伝えたいことが頭の中で渋滞して、言葉が出てこない。
そして気づけば、選手の目は泳ぎ、時間だけが過ぎていく──。
そんな経験、あなたにもありませんか?

こんな悩みに少年サッカー指導歴13年のとる太がアドバイスします!
実は僕も、コーチを始めた頃は毎試合この時間がプレッシャーでした。
「もっと上手く伝えたい」「的確な指示を出したい」
でも、その裏にある本音は――“自信を持って指導したい” という思いでした。
でも大丈夫です。
必要なのは話術でも戦術知識でもなく、“順番”と“型”だけ。
たった5分で伝えたいことを整理し、選手が後半に向けて前向きになれるフローがあります。
この記事では、僕が10年以上の指導経験の中で磨いてきた、再現性の高いハーフタイム5STEPを公開します。
読後には、次の試合から迷わず指導できる“自分”に出会えるはずです。
それでは本編へどうぞ!
5分で整える!ハーフタイムでコーチが行う5STEP!

「試合中、頭の中が整理できず、何を話せばいいか分からなくなった…」
そんな経験があるコーチにこそ伝えたいのが、「話す中身」よりも「話す順番」を決めておく大切さです。
どんな内容を話すかに悩むよりも、“型”を持っておくことで、冷静に伝えられる自分を作ることができます。
ここでは、僕自身が実践している5分のハーフタイムで使える黄金パターンを紹介します。
5STEPの全体の時間配分
ハーフタイムは、以下の順番で進めていくようにしましょう!
- 労い(30秒)→ 選手へのリスペクトを表現する
- 発散(1分)→ 選手の声を引き出す
- 共感(1.5分)→ 聞く耳を作る
- メッセージ(1.5分)→ 修正点を絞って伝える
- 円陣(30秒)→ 後半へのスイッチを入れる
詳しく見ていきましょう!
①労い(30秒)

前半がどのような出来だったとしても、まずは全員に笑顔のハイタッチでと労いの気持ちを伝えましょう。
サッカーに限らず、人が人の話を安心して聞いてくれるのは、お互いがリスペクトし合って、信頼関係があるからこそ。
まず見るべきは作戦ボードよりも、前半を頑張ってプレーした選手たちの目です。
「ナイスプレー!」「お疲れ様!」とハイタッチで出迎え、さらにベンチメンバー・他のコーチも同じようにして上げることで、チームの一体感はより高まります。
②発散(1分)

選手だけで1分間、自由に前半について話す“発散タイム”をつくりましょう。
ここでコーチは我慢して介入しないようにします。
選手たちは感情・意見を吐き出すことで頭の整理が進み、後のメーセージが届きやすくなります。
ときに衝突やぶつかりも起きますが、それも含めて“自分たちのサッカー”です。
選手たちが自分たちで課題や感情を言語化することが、主体性につながると僕は考えています。
③共感(1.5分)

ここで修正点を発したい所ですが、まずは選手の言葉に耳を傾け、「わかるよ」と共感する時間をつくりましょう。
ここで共感することで、心理的安全性を確保するだけでなく、選手との共通認識を持ってからの方が納得感が生まれるからです。
「共感→提案」の順序は、教育やファシリテーションでも重視される基本構造です。
問いかけとしては、「試合前のテーマ、できてたと思う?」「どこが難しかった?」などが効果的です。
④メッセージ(1.5分)
ここまでの3分間で選手はコーチの話を聞ける環境が整っているので、ここでメッセージを伝えましょう。
あれもこれも言いたくなってしまうと思うのですが、伝えるのは最大3つのみ。
- 交代やシステム変更の有無
- ③の共感タイムで選手から出た意見(課題)をとりまとめて、解決策を提示
- 試合前に話したテーマを思い出させる
- 「これまで話したことも大切だけど、一番大切なのはみんなの“楽しむ”気持ちだよ」と言った全員をポジティブにさせる言葉
ここで話すことを速やかに決めるために、事前にサッカーノートにメモ欄を用意しておき、修正点や話すことを前半のうちに確認しておくことが最も大切です。
⑤円陣(30秒)

最後にチーム全員で一体感を作る「円陣」で後半のスイッチを入れる。
身体と声を使って「さあ行こう」という意志を揃えることで、切り替えができます。
特に小学生年代では、「よし、やるぞ!」という掛け声と集団のリズムが、気持ちを一つにする強力なツールになります。
ハーフタイムでやってはいけない3つのNG行動
「話す順番は理解した。でも、何を言ってはいけないのか?」
そんな疑問にお応えするために、NGな言動を3つ紹介します。
① ネガティブなメッセージを与える
選手のやる気を下げてしまう最大の要因が、「ネガティブな言葉」です。
たとえ前半で思うようなプレーができていなくても、責めたり怒ったりするような声かけは避けるべきです。なぜなら、それによって選手の自己肯定感が大きく損なわれてしまうからです。
ハーフタイムは“やり直し”の場であり、選手を後押しする場です。前向きな言葉をかけ、勇気を持たせることを意識しましょう。
② 個人だけにフォーカスして責める
ミスをした選手を名指しで注意してしまう…そんな経験は誰しもあるかもしれません。
ですが、これはチーム全体の空気を一気に悪くしてしまう危険な行動です。
特定の選手を責めると、他の選手も「次は自分が言われるかもしれない」と萎縮してしまい、思い切ったプレーができなくなります。
大切なのは、個人ではなく“集団(チーム)”に焦点を当てること。
「〇〇が悪かった」ではなく、「この場面では全体でこう守ろう」とチーム全体で改善できるような伝え方が、信頼感につながります。
③ 試合前に扱っていない新情報を出す
ハーフタイムで突然、新しい戦術や守備のやり方などを話し始めてしまうのは避けましょう。
なぜなら、選手にはその新しい情報を咄嗟に理解し、実行する余裕がないからです。
そのため、ハーフタイムで話す内容は、原則「その週の練習で取り組んだテーマ」または「過去に扱ったことがあるテーマ」に限定することが鉄則です。
これは試合前のミーティングで話す時も同様です。
新しいアイデアではなく、“今の自分たちでできること”を後押ししましょう。
次の試合で使える!ハーフタイム修正テンプレまとめ
「頭が真っ白になってしまう」という方のために、使えるテンプレートとチェックリストを紹介します。
3分で伝えるテンプレート(コピペOK)
① 労い(30秒)
→ よく頑張ったね、ナイスプレー!
② 発散(1分)
→ まずは自分たちで話し合って、思っていることを伝え合おう!
③ 共感(1.5分)
→ 前半の感想を教えて
→ ○○の場面、難しかったね。
→ 試合前に話したテーマ覚えてる?実行できたかな?
④ メッセージ(1.5分)
→ コーチから伝えたいのは3つ:
・攻撃:〇〇
・守備:〇〇
・今いったことも大事だけど、一番大切なのは「○○」!
⑤ 円陣(30秒)
→ みんなで円陣組もう!
前半終了前の準備チェックリスト
- 修正点は1〜3点に絞ったか?
- その内容は練習と紐づいているか?
- コーチ間でメンバー変更など共有済みか?
- 相手の強みや課題に応じた指示は整理できたか?
- ベンチ選手への指示も含めたか?
この一言が、選手の背中を押すスイッチになります。
まとめ|ハーフタイムは「話す技術」より「整える力」
ハーフタイムで何を話すか──
それはコーチにとって、いつまでも悩ましいテーマです。
でも実は、大切なのは「何を言うか」より「どう整えるか」。
選手が安心して話を聞ける空気をつくり、的確に伝える順番を知っておくことで、内容は自然と伝わるようになります。
今回紹介した5つのSTEP(労い→発散→共感→メッセージ→円陣)は、僕自身が10年以上の指導現場で育んできた“型”です。
型があれば、コーチとしての言葉にも自信が生まれ、選手の反応も確実に変わっていきます。
そして何より、ハーフタイムもまた“育成”の場です。
「話す」ことよりも、「選手が伸びる場を整える」ことが、僕たちコーチの役割だと信じています。
不安になるのは、真剣に選手と向き合っている証拠。
でも、次の試合ではもう迷わなくて大丈夫です。
あなたのその一言が、選手の背中を押します。
さあ、自信を持って送り出しましょう。この5STEPは、きっと選手の未来を変えます。
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